研究会設立の趣意

 我が国に作業療法が公式に導入されてから早50年の歳月が経ちました。昭和40年に21名から出発した作業療法士も既に7万人を超えるに至りました。このことは我が国のリハビリテーション医療や地域福祉制度の発展の賜物であり喜ぶべきことであります。

 

 しかし一方で急速な作業療法学科の学生数の増加は、養成教育および臨床教育に様々な歪みも生んでいます。作業療法教育の代表的な教科書である作業療法全書(改訂第3版)は13巻、3600ページを超えており、学生が学ぶべき量は膨大となりました。

 

また慢性的な実習地不足は、臨床教育者へ過度な負担を強いる結果ともなっています。その結果、臨床教育において学生は対象疾患や年齢層等をバランス良く学ぶことを期待されながら、現実には発達領域や精神科領域での臨床教育を経ずに卒業して行く学生が増えていくことになります。

 さらにケースレポートを中心とした指導は、終業後の1対1によるフィードバックとなりやすいため、学生からみるとパワーハラスメントやアカデミックハラスメントと捉えられかねない状況を作ってしまいかねません。

  このように高度な知識と技術を備えた作業療法士の養成という社会からの要請に、作業療法士の教育体制は十分に応えられていないのが現状だと思われます。

 しかし我が国の医学教育も遅々とではありますが、問題基盤型学習(PBL)、客観的臨床能力試験(OSCE)、そして臨床参加型実習(クリニカル・クラークシップ)へと改革を進めて来ました。具体的には「学生を子供扱いし、最新の知識を教員が教えなければ学生は学ぶことができない」とした知識偏重型あるいは教育者中心の教育システム(pedagogy)から、「作業療法を学ぶ学生は成人であり、学ぶためには長期に渡る修養と成熟を求められる」という学習者中心の成人学習システム(andragogy)へという教育観の転換が図られてきています。

 

この転換は、養成校教育と臨床教育が車の両輪となって進めていかなければなりません。養成校教育がいくら成人学習システムに移行しても、臨床教育が従来の知識偏重型では逆効果となります。また養成校教育が相変わらずの知識詰め込み型ならば、いくら臨床教育を臨床参加型にしたとしても十分な臨床教育効果は望めません。

 

 以上のような問題意識から我々は「クリニカル・クラークシップ型作業療法臨床教育研究会」を設立します.この会は、養成校教員と臨床教育者が協力して、学生が主体的に学び、臨床経験を深め、作業療法士としてのやりがいを感じられるような効果的な作業療法の臨床教育を探求し、もって作業療法士教育の向上に寄与しようとするものであります.

 

平成286月吉日

発起人:毛束忠由(目白大学保健医療学部作業療法学科)

     會田玉美(目白大学保健医療学部作業療法学科)

     坂本安令(横浜市立大学附属病院)

     山倉敏之(筑波記念病院)

     小林隆司(首都大学東京)

  鈴木憲雄(昭和大学)

     小岩伸之(八雲総合病院)

     柴 貴志(岐阜県立多治見病院)

     渡邊基子(介護老人保健施設ゆうゆう)

  市川和子

  星克司 (埼玉県立総合リハビリテーションセンター)

  小林幸治(目白大学保健医療学部作業療法学科) 

      野村健太(目白大学保健医療学部作業療法学科)

 


クリニカル・クラークシップに基づく

作業療法臨床教育研究会 会則

 

第一章(総則)

 

この会は「クリニカル・クラークシップに基づく作業療法臨床教育研究会」と称する。

この会の事務局を、埼玉県さいたま市岩槻区浮谷320目白大学保健医療学部作業療法学科に置く。

 

第二章(目的)

 

この会の目的は、下記の2点である。

1.       作業療法臨床教育の質的向上および効率化を進めるため、クリニカルクラークシップに基づく作業療法臨床教育の普及を図ること

2.       臨床教育者と養成校教員の情報交換および教育環境の向上を図ること。

もって作業療法士養成教育の質の向上を推進すること

 

 

第三章(会員)

1. この会は作業療法教育に関心を持ち、当会の目的に賛同し、年会費を支払っている個人をもって会員とする。

 

2. 会員は、次のいずれかに該当するに至ったときは、その資格を喪失する。

(1) 第十二章(会費)1の会員年会費の支払義務を、在籍した年度の事業年度終了日から3年間履行しなかったとき

(2)会員が死亡、又は会が解散したとき

 

第四章(役員および役員・事務局の職務)

 

1. この会には次の役員を置く。

  会長  1名   会長は当会を代表し、会務を統括する。

 

副会長 2名以内 副会長は会長を補佐し、必要な時は会長の職を代行することが出来る。

 

 理事  8名以内 会長及び副会長を補佐し、役員会において別に定めるところによる業務を執行する。

 

監事  2名以内 監事は、会務並びに会計を監査する。

 

2. この会には次の事務局を置く。

 

 事務局長 1名 事務局長は事務局員を統括する。事務局長は理事が兼任する。

 

事務局員 2名以内 事務局員は事務的業務を遂行する。また会計と書記の業務の補佐をする。

 

会計   2名以内 会計は当会の出納事務を処理し、会計事務に関する帳簿および書類を管理する。

 

書記   2名以内 書記は当会の記録を統括する。

 

 

第五章(役員の選任)

 

1. 会長、副会長、理事、監事を総会において会員の中から選任する。

 

2. 事務局長は会長が指名する。

 

 

第六章(役員の任期)

 

1. 役員の任期は2年とする。ただし、再任を妨げない。

 

2. 補欠又は増員により選任された役員の任期は、前任者又は現任者の在任期間とする。

 

3. 役員の辞任又は任期満了の場合においても、後任者が就任するまでは、前任者がその職務を行わなければならない。

 

 

 

第七章(役員の解任)

 

役員は、次の各号のいずれかに該当するときは、役員会の議決により解任することができる。

 

1. 心身の故障のため職務の執行にたえられないと認められるとき

 

2. 職務上の義務違反その他役員たるにふさわしくない行為があると認められるとき

 

第八章(会議)

 

1.   次の会議を設け、会長が招集する。

 

1.   定期総会 

会員をもって構成される。原則として年一回開催される。総会は、次の事項について議決する。

事業計画及び収支予算の決定

事業報告及び収支決算の承認

その他本会の運営に関する重要な事項

 

総会の議事については、次の事項を記載した議事録を作成しなければならない。

日時及び場所

構成員の現在数

総会に出席した会員の数

議決事項

議事の経過及び要領並びに発言要旨

 

2).     臨時総会

会員をもって構成される。役員会が必要と認めたときに開催する。

 

3).     役員会

役員をもって構成される。クリニカルクラークシップに基づく作業療法臨床教育研究会の運営・企画等に関しての検討を行う。

 

 

 

 

第九章(召集)

 

1.   会議は、会長が召集する。

 

2.   会議を招集する場合は、構成員に対し、会議の目的たる事項、日時及び場所を記載した書面もしくは電子メールをもって、少なくとも開催の20日前までに通知しなければならない。ただし、会長が緊急に役員会を開催する必要があると認めたときは、この限りではない。

 

第十章(議長)

 

1.   総会の議長は、その総会において出席した構成員の中から選出する。

 

2.   役員会の議長は、会長がこれに当たる。

 

第十一章(議決)

 

1.   総会は会員の過半数の出席(委任状・インターネット投票を含む)をもって成立し、出席者の過半数(委任状・インターネット投票を含む)を持って議決する。ただし、賛否同数の場合は議長の判断により議決する。

 

2.   その他の会議は出席者の過半数(委任状・インターネット投票を含む)を持って議決する。

 

第十二章(会費)

 

1.   会員年会費は年3000円とする。

 

2.   会員が研修会および研究会に参加する場合、その都度会員参加費を設定する。

 

3.   非会員が研修会および研究会に参加する場合、その都度非会員参加費を設定する。

 

第十三章(会の事業)

 

1.   当会の事業は原則として年1回の研究会と年1回の研修会、年1回の研究会誌の発行、年数回のニュースレターの発行で構成される。

 

2.   当会の事業は役員会において決定され、総会での承認を得る。

第十四章(講師等謝礼金)

 

1.   講師等謝礼金は、別に定める講師等謝礼金・交通費支給規定に則って支払う。

 

 

 

第十五章(規約変更)

 

 この規約は役員会において検討され、総会において出席構成員の過半数の承認(委任状・インターネット投票を含む)を得なければ改変することは出来ない。

 

 

(附則)

 この規則は、平成28625日から施行する。

 この規則は、令和441日に一部改正し、同日より施行する。

 

個人情報の保護に関する基本方針

 

 

クリニカルクラークシップに基づく作業療法臨床教育研究会(以下、当会)は、会員個人を識別しうる情報(以下、個人情報)を適切に保護するために次の取り組みを推進します。

 

1 当会は、会員名簿の取り扱い業務に関与する会員・事務員に対する教育活動を実施するほか、個人情報を取り扱う管理責任者を事務局に置き、個人情報の適切な管理に努めます。

 

2 当会は、会員名簿の個人情報への不正な侵入、個人情報の紛失、改ざん、漏えいなどの危険防止に努めます。

 

3 当会は、会員から提供された個人情報を、当会の活動及びその他の正当な目的のためのみに使用します。

 

4 当会は、会員から提供された個人情報を正当な理由があるときを除き、当会の理事、業務の委託先および提携先、ならびに当会の関連業務の承認先以外の第者には提供いたしません。

 

5 当会は、会員の個人情報の提供をお願いする場合は、その収集目的、当会が会員の個人情報を提供する第三者の範囲をお知らせします。また会員に対する当会対応窓口は原則として事務局とします。

 

6 当会は、会員から提供された個人情報を第三者に提供する場合は、特段の事情のない限り、合理的な方法により、その第三者からの漏えい・再提供の防止などを図ります。

 

7 当会は、会員から提供された個人情報を会員が確認、訂正などを希望する場合は、合理的な範囲で対応します。

 

8 当会は、個人情報の保護に関係する日本の法令その他の規範を遵守するとともに、本ポリシーの内容を継続的に見直し、その改善に努めます。

 

平成28625

クリニカルクラークシップに基づく作業療法臨床教育研究会